テイコク

岐阜県 調査・設計・管理・測量・開発のテイコク

WWW を検索 サイト内を検索
google
HOME > がんさんのお天気コラム > 雷三日ならぬ雷五日

雷三日ならぬ雷五日


雷三日ならぬ雷五日

  岐阜県内は、7月31日~8月4日の5日連続で雷注意報が出され、「雷三日」ならぬ「雷五日」となりました。この原因は、高気圧周辺の湿った空気が日本の南から流入し、さらに気温が連日35℃以上を観測するなど上昇したため、大気の状態が不安定になり各地で雷雨が発生しました

  県内には8月1日に大雨警報、洪水警報が出され、美濃で時間雨量70mm、郡上市八幡で58mmを観測しました。解析雨量では、関で90mm、中津川、恵那で80mmを観測しました。

  また、8月3日にも大雨警報、洪水警報が出され、岐阜で時間雨量70mm、美濃で56mmを観測するなど、交通機関に大きな影響が出ました。

  なお、「雷三日」という言葉は、夏は比較的に大気の移動が緩やかために、上空に入った寒気が日本付近を通過するのに数日かかることからできた言葉です。


8月3日21時 地上天気図
気象庁Webサイトより

  雷とは、強い上昇流のある積乱雲の中で、正負の電荷分離が起こり放電する現象で、放電の際に発生する音が雷鳴、光が電光、雨が伴うと雷雨といいます。

  雷を発生させる電荷の分離は、雲の中であられと氷晶(小さい氷のつぶ)の衝突によって起こり、湿った空気が激しく上昇して、上空の低い温度の層に達すると、あられや氷晶が多量に発生し雷雲となります。このため、雷は上空高くまで発達した積乱雲で発生し、雷雲の高さは、夏には7km以上、冬には4km以上になります。

  雷は上昇流のでき方により ①熱雷、②界雷、③渦雷に分類されます。

①熱雷は、日射により地表面が熱せられて生じる、強い上昇気流により発生し、夕方から夜のはじめにかけて発生します。
②界雷は、寒冷渦(周囲より寒冷な低気圧)や寒冷前線の通過など、上空に冷たい空気が流入して発生します。
③渦雷は、台風や発達した低気圧により発生します。

 一般的に激しい雷雨は、強い上昇流があり、更に上空に冷たい空気が流入した時に発生することから、熱雷と界雷と複合した熱界雷にあたります。


8月8日多治見で今夏最高の39.7℃を記録

  8月8日、9日は全国的に高温になりました。

  8日は、全国929の気象観測地点のうち、80%の741箇所で真夏日(最高気温30℃以上)を観測、18%の164箇所で猛暑日(最高気温35℃以上)を観測しました。上位10位のうち中部地方が7箇所、岐阜県内は4箇所でした。

8月8日

気象庁Webサイトより


  9日は、67%の629箇所で真夏日(最高気温30℃以上)を観測、21%の198箇所で猛暑日(最高気温35℃以上)を観測しました。上位10位のうち関東地方が9箇所でした。

8月9日

気象庁Webサイトより

  8月8日~10日にかけて台風5号が日本の東を北上しました。8月9日の上空1500m付近の風を見ると、台風がもたらした暖かい北西風が関東地方に流入しています。この気流が関東地方の北側にある山脈を越え、フェーン現象(前号参照)により関東地方は高温になりました。





(注)図中の赤色ほど風が強い

台風5号
8月9日12時 上空約1500m付近の風
earth :: 地球の風、天気、海の状況地図より

  また、8月17日も9日と同じように台風7号が日本の東を北上したため、関東地方で気温が上昇し、群馬県館林では今年全国2位の最高気温39.6℃を観測しました。


夏の風物詩 花火

  7月から8月にかけて県内各地で花火大会が開催され、私が住む岐阜市の長良川河畔では、7月最終土曜日と8月第一土曜日に二週続けて花火大会が開催されます。今年は、7月31日と8月6日でした。

  毎年、雨が降らないか雷雨は来ないかと気をもむのですが、幸いにも今年は両日とも雨の心配もなく、きれいな花火を堪能できました。



長良川花火大会(8月6日撮影 長良橋上流より)

  花火大会が終わると、夏もあと残りわずかですが、8月18日に気象庁から出された1ヶ月予報では、東海地方をはじめ全国的に高温が続き、特に8月中はかなり高温と予想されています。

  しばらく厳しい残暑がつづき、夏の終わりもまだ先のようです。


【一口コラム】
解析雨量とは

  アメダスは雨量計により正確な雨量を観測しますが、17km四方に1か所しかありません。一方、レーダーは、雨粒から返ってくる電波の強さにより、面的に隙間のない雨量が推定できますが、雨量計の観測に比べると精度が落ちます。

  解析雨量は、両者の長所を生かし、レーダーによる推定雨量をアメダスで補正して1km四方(高解像度ナウキャストは250m四方)で表したものです。なお、解析雨量の精度をより高めるために、アメダスだけではなく他の国機関や都道府県の雨量計による観測も利用しています。



*高解像度ナウキャスト(例:台風9号) 気象庁Webサイトより