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気象衛星世代交代 ひまわり8号へ

 

東海地方7月20日に梅雨明け ~一日早い~

  今年の東海地方は、6月8日に梅雨入りし、平年より1日早い7月20日に明けました。  

  梅雨の間の岐阜市の天候は、平年に比べると降水量は15%多い465.5mm、平均気温は0.4℃低い24.0℃、1日の平均日照時間は19%少ない3.96hrとなりました。
  前期、中期、後期に分けて平年と比較してみると、降水量は中期と後期が多く、日照時間は全期を通じて少なくなっています。しかし、後期の気温は平年に比べ0.7℃高くなりました。

  気温が上昇したのは、7月10日頃から太平洋高気圧と日本の南を北上する台風により、日本列島付近に南から湿った暖かい空気が入ったためです。このため、全国各地で猛暑日(最高気温35℃以上)になり、14日には群馬県館林市で今年の最高気温39.3℃を記録、岐阜市でも10日から16日にかけて最高気温は30℃を越え、15日には35℃を観測しました。

  降水量
(mm)
日平均気温
(℃)
1日平均日照時間
(hr)
前  期
(6/8~6/22)
112.5
22.8
3.99
120.7 22.7 5.32
中 期
(6/23~7/7)
217.0
23.0
3.99
154.4 24.5 4.45
後 期
(7/8~7/19)
136.0
26.9
3.88
128.0 26.2 4.90
全期間
(6/8~7/19)
465.5(115.5%)
24.0(-0.4)
3.96(81.0%)
403.1 24.4 4.89
  *上段:今年の数値   下段:平年値(6/8~7/20)
    赤字:平年より多い若しくは高い  青字:平年より少ない若しくは低い

  7月の上旬には日本の南には珍しく三つの台風がありました。このうち台風11号が16日から17日にかけ四国から中国地方を縦断し、日本海に抜けました。岐阜県は台風の東側に入りましたが、幸いにも中心から300kmほど離れたため、大きな影響はありませんでした。

  しかし、台風からの湿った気流がぶつかる南~南東の斜面が広がる西濃地方や、中濃地方では18日にかけて200mmを越す大雨が降ったところもありました。


気象衛星画像(日本の南海上に三つの台風)
7月7日16時30分
気象庁Webサイトより

気象衛星世代交代 ひまわり8号へ

  気象衛星は、気象観測を行うことが難しい海や山岳地帯を含む広い地域の雲、水蒸気、海の状態を観測できるため、地球全体の監視に有効です。特に、観測点の少ない海の上にある台風の監視に有効です。

  そのため、世界各国が協力して気象衛星を打ち上げ、継続的に運営しています。現在、日本、韓国、中国、インド、アメリカ、欧州、ロシアなどが16機の気象衛星を打ち上げ観測していますが、日本の「ひまわり」のような静止衛星は11機あります。


  静止衛星とは、赤道上空約35,800kmの軌道上を地球が自転する方向に地球の自転の周期(約24時間)で回っているため、地上から見るとまるで静止しているように見えます。なお、「ひまわり」は、東経140度付近上空から観測しています。

  「ひまわり」には、可視光線と赤外線を検知するカメラを搭載しており、観測されたデータは、テレビの天気予報で目にする雲画像の写真のみならず、コンピュータでデータ処理を行い雲の高さ、海面温度、上空の風などの算出に用いられます。
  これらの情報は、台風・低気圧・前線などの動きの把握、大雨・大雪の監視、さらには海面水温の変動をはじめとする、地球環境の監視・予測などに広く利用されています。

  初代の1号が昭和52年に運用されて以来、ずっと日本の気象予報に大きな役割を果たしてきましたが、この7月7日11時から8号が運用されることになりました。

それでは、8号は7号と比べ、具体的にどのように変わったのでしょうか?

①分解能が2倍になり、画像が鮮明になりました。
②観測所要時間が30分から10分に短縮され、豪雨や積乱雲の急発達の様子を
 いち早く捉えることができます。
③観測種別が約3倍になり、雲の様子をこれまで以上に詳しく見ることができます。

ひまわり7号、8号の比較

 

ひまわり7号 ひまわり8号

水平分解能

可視光 1㎞
赤外線 4㎞ 

可視光 0.5㎞
赤外線 2㎞

観測所要時間

30分

10分

観測種別

可視光 1バンド
赤外線 4バンド

可視光 3バンド
赤外線 6バンド

 この結果、台風や集中豪雨をもたらす雲などの移動や発達を、これまで以上に詳細に把握することができるようになります。さらには、コンピュータで処理された海面温度、上空の風などもより精細に算出されるため、台風・低気圧・前線の動きの把握などの向上が期待されます。





ひまわり7号
7月7日10時30分
ひまわり8号
7月7日11時

  上の衛星画像は、ひまわり7号と8号の気象衛星画像(可視画像)の比較です。この大きさでは、その違いがはっきりしませんが、気象庁ページ(http://www.jma-net.go.jp/sat/data/web89/himawari8_sample_data.html)では、もう少し詳しく説明されていますので、興味のある方は是非ご覧ください。


  我が家の周りでは、梅雨に入る前の6月上旬から鳴いていたアマガエルにつづき、6月下旬にはニイニイセミの鳴き声が加わり、7月14日にはコオロギまで鳴き出しました。
  これから厳しい暑さが続きますが、なんとかこの暑い夏を乗り切りたいものです。

 

我が家の塀にへばりつくアマガエル?
7月12日夜撮影



【一口コラム】
気象衛星画像の見方

  気象庁のホームページでは、気象衛星の可視・赤外・水蒸気の三つの画像が見らます。

  1. 可視画像は、雲や地表面によって反射された太陽光を観測した画像です。雨を伴う発達した雲ほど厚みがあり、太陽光を強く反射するため、より白く写ります。 夜間は太陽光の反射がないため、可視画像は写りません。

  2. 赤外画像は、雲などから放射される赤外線を観測した画像です。赤外線は雲の温度により変化することから、高い高度の温度の低い雲がより白く写ります。 なお、高い高度の雲には、集中豪雨をもたらす積乱雲のような厚い雲もあれば、晴れた日に上空に現れる巻雲のような雲もあります。 このため、白く写っている雲が雨をもたらすとは限りません。赤外線を観測しているため、昼夜問わず観測できます。

  3. 蒸気画像は、水蒸気から放射される赤外線を観測した画像です。雲がないところでも対流圏上・中層にあるごくわずかの水蒸気からの放射を観測することができ、対流圏上・ 中層の水蒸気が多いところは白く写り、上空の大気の湿り具合がわかります。さらに、動画では上空の大気の流れを見ることができます。

これらの画像を参考に、雲の状態を把握して、降雨の予測に役立てます。