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黄砂の季節

4月中旬までの日照は平年の半分以下

  4月に入ると、日本の南岸に前線が停滞したり、次々に低気圧が通過したため、北海道や沖縄地方を除いてぐずついた天気が続きました。

  下の図のように、特に関東地方より西では日照時間が少なく、平年に比べ60%以下の地点が多くみられます。

全国の4月1日~20日までの日照時間



  岐阜市の4月1日~20日までの日照時間は平年の46%の59.5時間と少なく、特に日照ゼロの日は9日、降雨のなかった日は4日しかありませんでした。

  一方、気温は4月4日には最高気温が5月下旬並みの25.3℃まで上昇したものの、一転7日には3月上旬並みの12.8℃まで下がるなど寒暖の差が激しく、また15日には雹(ひょう)が降り、梅雨を思わせるような不安定な天気が続きました。

  この時期のこうした天気は、菜種梅雨と呼ばれています。


岐阜市、高山市の4月1~20日までの日照時間
  岐 阜 市 高 山 市
平年値(4/1~20) 128.4時間 114時間
今年の観測値(〃)  59.5時間(平年比46%) 51.8時間(平年比45%)
4月の平年値 196時間 174.6時間
4月の過去最少値 119.5時間(1964年) 120.6時間(1923年)
(注)日照時間とは直射日光が地表を照らした時間
    *岐阜地方気象台観測資料より

  3月中旬から4月上旬にかけて、大陸の高気圧の張り出しや移動性高気圧の進路が北に偏った気圧配置(北高型)になり、日本の南岸には前線が発生しやすくなります。

   このため、冷たく湿った北東気流が前線に向かって入ったり、前線上を低気圧が通過し、関東地方から西の太平洋側では、梅雨のようなぐずついた天気になることがあります。ちょうど菜の花が咲く時期と重なることからこのように呼ばれます。

  菜種梅雨は、梅雨前線のように毎年現れるものではなく、また集中豪雨をもたらすものではありませんが、上空に冷たい空気が入ると大雨になることがあります。


4月8日の天気図(北高型)
気象庁Webサイトより


  この時期は、花見や春祭りの時期と重なり、悪天の印象が残る雨です。岐阜まつりは小雨が降ったものの、満開のさくらの中で宵宮が開催されましたが、4月14日~15日の高山祭は残念ながら雨のため、山車の曳き揃えが中止になりました。

  ぐずついた天気もこれまで。気象庁の1か月予報によると4月下旬以降は、気温、日照時間とも平年並みと予想されており、新緑のすがすがしい天気が期待できそうです。



伊奈波通りのしだれ桜(4月2日撮影)
4月4日には岐阜まつりが開催された


黄砂の季節

  新聞などでは、3月までの花粉情報に加え、4月からは黄砂の情報が掲載されています。大陸から飛来する黄砂は洗濯物が汚れるだけでなく、時には視界不良で交通障害まで発生することがあります。

  黄砂現象は、東アジアのタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土地帯から、強風により上空数千mまで巻き上げられた黄砂粒子が、日本付近まで運ばれる現象で、日本では春に観測されることが多く、ときには空が黄褐色に煙ることがあります。

黄砂解説図
気象庁Webサイトより

  大陸の乾燥地域では、冬季は降水量が特に少なく、植物も枯れて土壌がむき出しの状態ですが、高気圧におおわれ風も弱く、地表は寒さで凍結しており、大規模に砂を巻き上げることは少ないようです。
  しかし、春になると気温が上昇し低気圧が発生して、風が強まるとともに、地表の凍結もなくなり大規模な砂あらしが発生します。

  日本付近の中緯度地域は偏西風が西から東に吹いており、天気は西から東に変わり、この偏西風により移動してくる低気圧とともに、黄砂が大陸から日本へ飛来します。特に、発達した低気圧が大陸から進んできたときには、飛来する可能性が高いようです。

  日本で黄砂が観測される年間の平均日数は24.2日です。このうち3月が6.9日、4月が9.0日、5月が4.1日と、この3か月で約80%にあたる20日観測されたように、春に多く飛来することから、5月までは黄砂に注意が必要です。

  なお、過去最多は2002年の47日でしたが、いまのところ今年は3月までに9日観測されています。



【一口コラム】
北高型(北東気流型)とは

 大陸の高気圧の中心が北日本や日本海付近にあると、日本の南には前線が発生します。低気圧がこの前線に沿って進み、太平洋側では雨が降りやすくなるとともに、高気圧の南の縁にあたるため、北東の風が吹きやすくなります。

  一般的に高気圧圏内は晴天になりますが、日本の東の海上から吹く北東風は冷たく湿っているため、高気圧の中にありながら気温が低く、曇りの天気になります。
 初夏から盛夏にかけて、北日本や東日本の太平洋側に入るこの気流は「ヤマセ」と呼ばれ、冷夏になり冷害が発生することがあります。

 なお、この「北高型」は「北東気流型」ともいわれます。