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12月に入っても高温


  11月は偏西風が日本付近で北に蛇行しており、日本付近に寒気が流入しにくく、全国的に高温になりました。

 32号のとおり、岐阜でも11月中旬まで気温は平年を大きく上回っており、終わってみると、11月の平均気温は平年を2℃上回る、過去3位の14.2℃でした。この気温は、宮崎の平年値14.3℃と同じで、大変暖かい晩秋となりました。

 高温が続いているのは、昨年夏から継続している「エルニーニョ現象」が原因です。
  夏季の天候への影響は本コラム30号でお届けしましたが、エルニーニョ現象により西太平洋地域(フィリピンの東)の海面水温が低下し、この海域の積乱雲の活動(対流活動)が不活発になります。このため、冬季の場合はアリューシャンの南付近では低気圧が強まり、寒気が入りやすくなり、逆に日本付近には寒気が入りにくくなります。

  また、東アジア大陸から北西太平洋中部にかけて気圧が高くなるため、西高東低の冬型の気圧配置になりにくく、日本への寒気の流入が少なく暖冬傾向になります。  


  12月に入っても全国的に気温の高い状態が続き、岐阜の中旬の気温は上旬より高いという逆転現象が起きました。中旬の平均気温は、なんと平年より3.8℃も高い10.5℃で、11月下旬の平年値の10.2℃よりも高くなりました。これは、鹿児島の平年値とほぼ同じで、季節は1ヶ月近く遅れています。

   このため、岐阜市の初霜、初結氷の観測は、平年に比べそれぞれ17日、5日遅い12月7日でした。また、12月20日現在の県内の主な地点の累積降雪量は、白川村で29㎝で22%、高山では4%と非常に少ない状況です。

 
岐阜の12月上旬・中旬の気温        (単位:℃)
  平均気温 最高気温 最低気温 備 考
上旬
(12/1~10)
9.8 14.8 5.3  
(8.3)
(13.2)
(3.9)
 
中旬
(12/11~20)
10.5 14.9 6.7  
(6.7)
(11.3)
(2.6)
 
(  )平年値  

  12月11日には、日本列島を発達した低気圧が通過したため、南から暖かく湿った気流が入り、東海や関東地方を中心に、12月としては記録的な高温、大雨になりました。

  三重県の尾鷲で25.6℃の夏日を観測したのをはじめ、最高気温が12月の1位を記録したアメダス観測所は全国で74か所、1時間降水量は130か所に上り、記録続出の1日になりました。


12月11日9時 天気図


12月11日9時 気温アメダス 気温

  岐阜市内の天気は曇り一時雨でしたが、最高気温は22.1℃、日降水量は84.5mmを観測し、ともに12月の1位の記録を更新しました。

  一般的に最高気温がでるのは14時前後、最低気温は6時前後です。しかし、この日は最高気温が8時53分、最低気温は0時31分に観測されました。11日9時の天気図に見られるように、午前にかけて南からの暖かい気流が流入したことがよくわかります。

  また、雨あがりには虹が現れるなど、めまぐるしい天気になりました。



12月11日11時頃撮影 岐阜市内

アメダスについて

  アメダス(AMeDAS)とは、Automated Meteorological Data Acquisition System の頭文字を取ったもので、地域気象観測システムといい、降水量、風向・風速、気温、日照時間の観測を自動的に行っています。

  1974年11月から運用開始され、降水量を観測する観測所は、気象台を含めて全国に約1300か所(約17km間隔)あります。このうち、約840か所(約21km間隔)では降水量に加えて、風向・風速、気温、日照時間を観測しているほか、雪の多い地方の約320か所では積雪の深さも観測しています。

  それぞれの観測所で観測された1分ごとのデータは、10分ごとにセンターに送信され、気象予報に役立てています。また、観測に支障をきたさないよう、障害物による影響のない場所に設置されています。

  なお、岐阜県内には、降水量を観測する観測所は32か所、これに加え風向・風速、気温、日照時間を観測するところは23か所、さらに積雪を観測するところは8か所あります。


アメダス大垣

今年の漢字は「変」

  日本気象協会が、気象予報士100人を対象に今年の天気を表す漢字の調査をしました。その結果、1位は「変」、2位は「雨」、3位は「暖」でした。

  今年は、2月上旬の北陸地方の豪雪、7月下旬からの関東地方での猛暑、9月には宮城、茨城、栃木を中心に大きな被害を出した台風18号による大雨など、全国で大きな被害が出ました。また、11月以降の季節外れの高温など、極端な現象が見られた1年でした。

  今年の岐阜は5㎝の積雪で始まりました。
  12月17日気象庁発表の1か月予報では、「年末以降の気温は平年並みか、やや高い、天気は平年に比べ、晴れが少ない」と予想されています。

  来年の元旦は、初日の出が見られるような晴天で始まり、皆さんにとり良い1年になることを願っています。


【一口コラム】
虹のでき方

  虹は、太陽の光が空気中の水滴により屈折・反射して起きる現象です。太陽光が反射して起きるため、必ず太陽と反対の方向に現れます。虹は鮮やかに見える場合と、ぼんやりとしか見えない場合がありますが、水滴が大きいほど色がくっきり鮮やかに見えます。
  しゅう雨(にわか雨)の時によく見られます。雪の時は、雪が固形物のため太陽光が屈折や反射することができず、虹ができません。