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寒さは彼岸まで


この冬は暖冬で少雪

  気象庁からこの冬の天候についての発表がありました。

  下の図は、2017年冬(12月~2月)の500hPa高度・偏差を表したものです。 ユーラシア大陸北部の西シベリアは気圧の谷となり偏西風(青矢印)が南へ蛇行し、シベリア付近では南西風が卓越し、南から暖かい空気が入りやすく、日本付近への強い寒気の流れ込みは弱くなりました。日本の東海上空は気圧の谷となり、偏西風(青矢印)が南へ蛇行し、日本付近では北西風が卓越し、南から湿った気流が入り にくく、東日本以西は高気圧に覆われやすくなりました。一方、一時的には西日本を中心に強い寒気が 南下しました。 


500hPa高度・偏差画像(2016年12月~2月)
気象庁Webサイトより

  今冬の12月前半は北日本を中心に、また1月中旬~下旬にかけては全国的に、さらに2月上旬~中旬にかけては西日本を中心に、一時的に強い寒気が南下して低温になりました。降雪量は北日本や東日本の日本海側で少なかったものの、西日本の日本海側では1月下旬と2月中旬に大雪が降りました。期間を通してみると、全国的に気温は高く降雪量が少ない暖冬でした。

 県内の気温は岐阜、高山とも平年より少し高めでした。1月16日に高山で最深積雪77㎝を観測しましたが、この期間の降雪量は、岐阜で平年の46%、高山で64%と非常に少ない冬になりました。



累積降雪量
気象庁Webサイトより

  3月になると7日~9日にかけ、寒気が入り、岐阜・西濃地方でも雪が降り、関ケ原では3月の観測史上3位にあたる11㎝の積雪を観測しました。岐阜では3月中旬までの平均気温は、平年に比べ上旬が-0.3℃、中旬は+0.3℃でほぼ平年並み、降水量は平年の79.5㎜に対し17.5㎜と非常に少なく日照に恵まれました。



寒さは彼岸まで

  太陽光は空気中を透過するため、太陽からの日射が直接空気を温めるのではなく、日射が地表面を温めて、温まった地表面から熱が上空の空気に伝わり気温が上昇します。このことは、真夏に地表面に近いほど熱く感じる(気温が高い)ことからもわかります。

  今年の岐阜県の公立高校入試の理科の中に、「春分の日の太陽の動き」に関する出題があり、その中の一つに「春分の日に観測した太陽の南中高度が55.0度であった。観測地点の緯度は何度か?」との問題がありました。答えは、皆さんご存知のように春分の日は、太陽は天の赤道(地球の赤道面を天球にまで延長し天球上に交わってできる円)上にあるため、観測地点の緯度は90度-南中高度(55度)の北緯35度になります。

  岐阜市の緯度は35.4度のため南中高度は、春分の日が54.6度、冬至が31.2度、夏至が78度になり、太陽から受けるエネルギーは、夏至は冬至の1.89倍、春分の日でも冬至の1.57倍もあり大きなエネルギーを受けます。

  岐阜の12月~2月の間に冬日が出現する日数の平年値は31日です。2008年以降の10年間を調べてみると、最も多かったのは2011年の49日、最も少なかったのは2016年の17日です。冬日の最終日は2011年3月28日が最も遅く、3月中旬を過ぎるとほとんど冬日は出現していません。また、岐阜の終雪日の平年値は3月16日です。

2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 平年値
12月 0 1 6 4 8 11 4 6 2 2 4
1月 7 17 16 28 13 20 13 9 8 11 13
2月 16 5 6 9 15 11 10 7 6 9 11
3月 1 0 0 8 4 3 3 3 1 1 3
24 23 28 49 40 45 30 25 17 23 31
冬日
最終日
3月6日 2月23日 2月21日 3月28日 3月16日 3月15日 3月11日 3月13日 3月1日 3月9日

  このように、春分の頃以降どんどん気温が上昇し、4月中旬になると平均気温が15℃、最高気温は20℃を越えます。「暑さ寒さも彼岸まで」との言葉がありますが、この言葉のとおり太陽の日射も加わり、寒さは彼岸までに終わるようです。


さくらの花見は平安時代から

  東京では、3月21日に今年初のさくらの開花が発表されましたが、県内でもまもなく発表されます。

  花見は古くは奈良時代から貴族の間で行われ、「さくら」より「うめ」が主流だったようです。平安時代になると花見といえば「さくら」になり、江戸時代には庶民の間にも定着しました。明治時代以降には「ソメイヨシノ」が全国的に広まったといわれています。

  気温も上昇し、厚手のセーターから薄手のものに変わるなど、外出に最適な季節になってきました。さあ、お花見に出かけましょう。



昨年の淡墨さくら
(2016年4月11日撮影)


【一口コラム】
2017年冬(12月~2月)500hPa高度・偏差図とは

  12月~2月の間には、いくつもの高気圧、低気圧が通過しますが、3か月間を平均すると個々の高気圧や低気圧の影響は消され、平均的な気圧がわかります。

  この図は、北極を中心とする北半球の500hPaの気圧面の図で、円型に描かれている実線は気圧が500hPaの高度を60mの間隔で描かれた等高度線です。等高度線が赤道方向に垂れ下がっているところ(赤実線)は気圧の谷を表しています。陰影域は、負偏差で平年より気圧が低く、寒気の影響を受けやすいところです。