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8月下旬から9月上旬は低温に

 

8月下旬から9月上旬は低温傾向

  先月号(029)の結びで、「気象庁の1か月予報では8月いっぱいは高温予想」と書きましたが、結果は8月下旬から9月上旬は一転、低温になりました。

 岐阜の気温等
  降水量
(mm)
気 温 (℃) 日照時間
(hr)
 
最高気温 最低気温
8月下旬
(8/20~8/31)
202.5
30.2
22.7
45.0
 
62.4 32.4 23.7 68.7  
9月上旬
(9/1~9/10)
198.5
27.7
21.1
31.3
 
65.5 31.1 22.5 58.6  
  *上段:今年の数値   下段:平年値
    赤字:平年より多い若しくは高い  青字:平年より少ない若しくは低い

  上に示す通り岐阜では、8月下旬は平年に比べ最高気温が2.2℃、最低気温が1.0℃低く、日照時間は66%と非常に少なく、降水量は3.2倍にもなりました。

  9月上旬になると、もっと低温傾向が強まり、最高気温は3.4℃、最低気温は1.4℃低くなり、日照時間も53%とさらに短くなり、降水量は3倍でした。
  また、この間に日照ゼロの日が7日もあり、9月8日の最高気温は23.7℃までしか上がらず10月中旬並みの気温でした。

 8月12日に台風から変わった低気圧が日本付近を通過して以降、北関東をはじめ東日本に記録的な大雨をもたらした台風18号が通過した9月13日頃までの約一月の間、日本列島に秋雨前線が停滞し、ぐずついた天気が続きました。



天気図(9月1日)
秋雨前線が日本列島に停滞
天気図(9月15日)
寒冷前線が日本列島の東に移動

  これは、暑い夏をつくる太平洋高気圧の日本列島への張り出しが弱く、例年より早く秋雨前線が発生したためです。
  では、なぜ高気圧の張り出しが弱かったのでしょうか?


エルニーニョ現象が影響

  下の図は、今年の8月の赤道を中心に、北緯50度から南緯30度と東経40度から西経80度までの範囲の海水面温度の平年値との差を表したものです。赤道付近の日付変更線の東側(南米ペルー沖)の太平洋では、平年より2℃以上高く、過去2番目の高さを観測しました。こうした海面水温の高い状態は1年以上続き、エルニーニョ現象が続いています。

海面水温の平年偏差図(H27.8)     気象庁Webサイトより


  エルニーニョ現象が発生すると、西太平洋熱帯域(フィリピン付近)の海面水温は平年に比べ低下し、この地域での積乱雲の活動が不活発になります。このため、日本の西で偏西風が南に寄り、日本付近では太平洋高気圧の張り出しが弱くなって、日照時間が少なく気温が低くなる傾向があります。

  このため、8月下旬から9月上旬にかけて日照時間が短く、気温が低くなったと思われます。
  なお、エルニーニョ現象が冬に発生すると、気温はやや高めで日照時間はやや少ない傾向があります。また、エルニーニョ現象の反対をラニーニャ現象といいます。


台風18号愛知県に上陸、岐阜県に暴風警報

  9月7日に日本の南で発生した台風18号は足早に日本に接近し、9日10時頃に中心気圧990hPa、最大風速25kmの勢力で愛知県知多半島に上陸しました。11時頃には996hPaの勢力で名古屋付近を通過し、その後岐阜付近から石川県内を通過して、21時には日本海中部で温帯低気圧に変わりました。

  岐阜県内には、8日16時45分に大雨警報が、9日4時30分には暴風警報が発令され、災害への警戒態勢が敷かれました。しかし、幸いにも総降水量は大垣市で137.5mm、風速は岐阜市での5.0m/sが最大でした。特に風については注意報クラスにも該当しないものでした。

 
各地の気圧及び最大風速
  名古屋 岐 阜 金 沢
気 圧 996.2 hPa 998.9 hPa 999.1 hPa
最大風速 11.7 m/s 5.0 m/s 9.9 m/s

  台風が上陸前の9日6時のレーダー画像では、中心の前面には強い降水を示す赤色の箇所がありますがそれ以外には見られません。また、中心付近には降水のないエリアが200km以上もあります。

  台風の目は発生初期には大きく、発達するほど小さくなり鮮明になると言われています。上陸前の6時のレーダー画像では直径200km以上の無降水域があるなど、この台風は発生後2日足らずの発達前の状態で日本に上陸したため、暴風が吹かなかったと推測されます。



天気図(9月9日6時)
レーダー画像(9月9日6時)

  台風15号により風速71m/sを観測した石垣島に、1週間後の8月30日に訪れました。
  現地の人からは、「激しい暴風が吹き、ホテルの窓ガラスが割れたり、車が横転して大変怖かった」との声を聞きました。しかし、島内観光の途中では、台風の爪痕はほとんど見られず、見たのは折れて倒れた電柱だけでした。


暴風により折れた電柱(石垣島 8月30日撮影)

  あらためて、台風常襲地帯の家屋の強さや日頃の十分な備えに感心したところです。

  先日、台風18号により北関東をはじめ各地で大きな被害が発生しましたが、今しばらく、台風には注意が必要です。十分注意してください。


【一口コラム】
ラニーニャ現象とは

  エルニーニョ現象とは逆に、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沖にかけての海域で、海面水温が平年に比べて低くなり、その状態が1年程度続く現象です。
  日本では、ラニーニャ現象が発生すると、夏は、西日本の太平洋側を除き日照時間がやや多く、降水量は沖縄地方で多くなります。また、冬は、北日本を除き気温がやや低くなる傾向があります。
   興味をお持ちの方は気象庁Webサイトで。