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山岳地の気象について


  今年の夏も暑かったですね。夏のレジャーと言えば海派と山派の方がいると思いますが、私は仕事の一環で、今年の7月28~30日の2泊3日で北アルプスの〝焼岳〟という山へ行ってきました。


西穂高山荘から見た焼岳

  焼岳は北アルプスの中の山で標高2455m、日本百名山に選定されていると同時に、常時観測対象の活火山に指定されています。

  この山がある北アルプスの盛夏時(7月下旬~9月中旬)の天気・気温などを調べてみました。

 まず天気ですが、盛夏時は基本的に夏の太平洋高気圧が南海上から日本付近を広く覆い、晴れる日が多くなります。しかし、この時期やはり登山をする上で一番怖いのが〝雷〟だと思います。
  雷の発生原因にもさまざまな種類がありますが、下記に代表的な原因を挙げたいと思います。

  日中、地表面が強く暖められ上空との気温差が大きくなることで起きる〝熱雷〟は、北アルプスや富士山のような標高の高い山で突然発生するのではなく、内陸の盆地など気温が上昇しやすい低山で発生することが多いです。
  しかし、低山で発生したものが風に流され移動することもよくあるので、風向きに十分な注意が必要です。
  焼岳がある北アルプスは日本海に近く、日本海から南下してくる前線が発生した時は落雷・大雨が多発しています。これは〝界雷〟と言います。これは比較的予報がし易いので、このような天気図になる予報なら、山行計画を見直した方がいいかもしれません。

  私が焼岳に行った際は、太平洋高気圧の縁を回って湿った空気が南からぶつかり、天候の急変はありませんでしたが、雲が発生し易い状態が続き、期待していた眺望は残念ながら基本的によくありませんでした。



上高地方面を望む
一日目はガスで対岸の槍・穂高連峰が見えませんでした。

  次に気温ですが、焼岳がある北アルプスは標高が約2500~3000mあり、日差しは強烈ですが朝晩は寒いくらいです。私が行った時も朝の気温は15℃前後でした。

 そして標高が概ね2400m以上になると、頭痛・吐き気・めまいなどと言った高山病による症状が起こりやすくなります。

  焼岳は北アルプスの中では標高が低く、2500m足らずなので、そのような症状が起こりにくいです。しかしロープウェイで一気に高度を稼いだりして、体が酸素濃度の急激な変化についていけず、2000m前後の標高でも人によって発生する恐れがあるので注意が必要です。


今回二日間宿泊した西穂高山荘。
北アルプスは人気の山域のため山小屋が多く、こういう場所で休憩や宿泊し、
高度順応を行うのもいいかも知れません。


二日目は午後を中心になんとか雲が取れてくれました。
写真左側に映る、西穂高岳方面の重厚な山並みが、とても印象的でした。

  今回、三日間とも周辺の都市は晴れる予報で、北アルプスの雄大な景色をとても楽しみにしていました。しかし、いざ登ってみると、スッキリと晴れてくれたのは二日目の午後だけで、それ以外は基本的にガスっており、三日目に至っては雨が降っていました。それもロープウェイで下山して山麓に到着すると、よく晴れて暑いくらいでした。

  私はプライベートでも時々山登りをしますが、山の天気はとても変わりやすい為、その日が一日晴れる予報だとしても、必ずカッパとリュックカバーを携行するようにしています。

  皆さんも山へ行かれる際は、平地の天気や気温はほとんどあてにならないということを念頭に置いて、安全第一で楽しんでくださいね。


  高山ソリューション部 
小川 健太