2017 年12 月27 日

ラニーニャ現象が発生

12月12日岐阜で初雪

12月9日から全国的に気温は低く、日本海側ではこの時期としては降雪量が多くなりました。12日以降には、さらに冬型の気圧配置が強まり、日本海側の広い範囲で大雪になりました。

岐阜では、9日に最低気温-0.7℃を観測し、今年初めての氷点下に、また12日には平年より2日早い初雪を観測するなど、県内は一気に冬に突入しました。14日時点での積雪は、高山で平年並みの3cmでしたが、白川村で110㎝(平年比478%)、郡上市長滝では49㎝(平年比445%)と、12月としては2014年以来の大雪になりました。しかし、幸いにも大きな被害はありませんでした。

なお、2014年は、白川村で131㎝、郡上市長滝で150㎝、高山でも87㎝を観測し、飛騨地方では倒木による停電などライフラインに大きな影響がでました。

地上天気図(12月12日12時)
気象庁Web サイトより

気象衛星赤外画像(12月12日12時)
気象庁Web サイトより

ラニーニャ現象が発生

11月末に名古屋地方気象台が発表した12月~2月の今冬の見通しでは、「12月の気温はやや低いものの、期間全体では気温、降水量とも平年並み、岐阜県の山間部の降雪量も平年並み」との予報が出されています。

12月11日には気象庁から「ラニーニャ現象が発生し、春まで続く可能性が高い」と発表がありました。ラニーニャ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線(東経180度)付近から南米沿岸にかけての海面水温が平年より低い状態が続く現象です。

この現象が発生している時には、東風が平常時より強くなり、太平洋西部に暖かい海水が蓄積、東部では冷たい海水の上昇が強まるため海面水温が下がる現象です。発生原因は、まだ十分には解明されていません。なお、この逆の場合をエルニーニョ現象(本コラム033参照)といいます。

左図:平常時                 右図:ラニーニャ現象時
気象庁Web サイトより

ラニーニャ現象が発生すると、下図のように西太平洋域の海面水温が上昇するため、この地域の対流活動(積乱雲が発生)が活発になります。そのため、日本付近では、冬季には西高東低の気圧配置が強まり気温が低くなりやすく、東海地方を含む東日本では、気温が低めで降水量は多くなる傾向が現れます。なお、夏季には夏の太平洋高気圧が北まで張り出すため、気温は高くなります。

最近では、2010年夏~2011年春にかけてラニーニャ現象が発生しました。この時の冬季(12月~2月)の岐阜、高山の気温、降雪量を調べてみました。気温は、岐阜、高山とも12月、2月は平年に比べ高かったものの、1月は平年に比べて低く、岐阜では5.5℃も低くなりました。降雪量は、逆に平年並み若しくは平年より少なくなりました。

1回のみの検証ですが、一般的に言われる「ラニーニャ現象が発生すると低温傾向」と同じ結果になりました。

黒潮は、おおむね日本の南岸に沿い流れていますが、今年8月下旬から紀伊半島から東海地方の沖合で大きく南への蛇行が続いています。これを黒潮の大蛇行といいますが、鹿児島大学中村啓彦准教授の研究では、黒潮の大蛇行が太平洋沿岸に大雪をもたらす可能性があるといわれています。(詳細は次号のコラムで取り上げる予定)

ラニーニャ現象の発生と黒潮の大蛇行により、今年の冬は気温が低く降雪量も多くなる可能性があります。

今年の漢字は「雨」

日本気象協会が、気象予報士100名と一般の方500名を対象に行った「今年の天気を表す漢字」は「雨」でした。その理由として、福岡県、大分県を中心に2日間で600㎜近くの大雨が降り、40名を超す犠牲者をだした「平成29年7月九州北部豪雨」や台風18号などの雨による災害が多く発生したためです。

今年も、いろいろな気象災害により、80名近くの方がなくなられました。来年は災害が少なくなることを祈るところです。

冬本番に入りましたが、岐阜市のみんなの森ぎふメディアコスモスでは、「テニテオイルミナード2017」が開催されています。全長240mの遊歩道を、約14万個のLEDがあたたかく照らしています。寒い冬の幻想的な夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。

ぎふメディアコスモス テニテオイルミナード
(撮影日12月19日)

一口コラム

エルニーニョ、ラニーニャの由来(語源)

○エルニーニョ
ペルー北部の漁民が毎年クリスマス頃に現われる小規模な暖流のことをエルニーニョと呼んでいました。エルニーニョはスペイン語でEl Niñoと書き、英語ではThe ChildThe Boyが対応します。この子供(男の子)は、定冠詞も名詞も大文字で書き始めることからわかるように、単純に一般の子供を意味するのではなく、「幼子イエス・キリスト」を指しています。この言葉が、次第に数年に一度起こるペルー沖の高水温現象の意味で使われるようになりました。

〇ラニーニャ
ラニーニャ(La Niña)はスペイン語で「女の子」を意味します。「神の子キリストを意味するエルニーニョの反対現象を「anti-El Niño」などと呼んでは語感が悪い、と米国の海洋学者フィランダー(S. G. H. Philander)が1985年に提唱し、定着しました。


気象庁Web サイトより

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